2022/07/06
大規模災害時の通信障害とIT継続
首都直下地震の被災シナリオから考える通信障害とIT継続
インターネットが使えなくなる
KDDIで発生した通信障害の影響は、携帯電話やデータ通信にとどまらず、産業・生活インフラ全般に波及。医療、物流、金融、エンタメなど、幅広い分野に混乱を引き起こした。「デジタル化社会」の弱点が浮き彫りになるとともに、情報通信システムがいまや経済機能・社会機能の根幹をなすことが明確になったといえる。
今回の事象は、通信ネットワークがつながらなくなったときに何が起きるかを一時的に見せつけた。しかし、災害時にはそれがより大規模に発生する。東京都がこのほどまとめた首都直下地震の新たな被害想定からもそれは明らかだ。初動・復旧の起点となる情報が絶たれる影響は計り知れない。
首都直下地震で起き得る通信ネットワークの被災シナリオを、下記に要約する。
停電が発生した地域では、非常用電源により通信ビルや基地局の機能は維持されるも、商用電源を利用する通信機器は使えず、充電しなければ端末も使えない。停電が長引く地域では、通信ビルや基地局でも非常用電源のバッテリーが枯渇、不通状態が拡大もしくは長期化する。
インターネットも電柱の倒壊などで通信ケーブルや携帯基地局が被災した地域では使えず、通信ビルや中継伝送路が被災した場合は利用停止地域が拡大。利用可能地域であっても、サーバーへのアクセスが集中すると遅配が発生する。また、停電が長期化すると携帯基地局が機能せず、利用停止エリアが拡大する可能性がある。
このように、エリアによっては発災直後からインターネットを含む通信が停止、かつ、停電などインフラ復旧の状況次第ではその状態が長期化する。10 年前より通信環境が格段に進化している分、IT依存度は大きく、その影響も大きい。
大規模災害時の通信障害とIT継続の他の記事
- 大規模災害時に通信はどこまで使えるか?
- インターネットが長期に渡りつながらない世界
おすすめ記事
-
医療機能の維持を可能にした徹底的なハード対策非常時の代替ライフラインはチェック表で管理
元日の能登半島地震で激震に襲われた恵寿総合病院では、地震後も業務を止めることなく、充実した医療を提供し続けた。10年をかけて整備してきた、徹底的なハードとソフト対策のおかげだった。
2024/05/20
-
目まぐるしい状況変化 懸命に向き合った3カ月
市立輪島病院は能登半島地震で被災しながらも、懸命の処置により、運び込まれる負傷者や感染症に苦しむ患者の命をつなぎました。超急性期・急性期を乗り切ると医療需要は急減し、代わって介護機能の維持が深刻な課題に浮上。発災から介護医療院開設までの約4カ月、病院で何が起きたのかを同院事務部長の河﨑国幸氏に聞きました。
2024/05/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年5月14日配信アーカイブ】
【5月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:行動指針の意義
2024/05/14
-
-
情報セキュリティーは個人のリスク目線では通用しない
学生時代からパソコンを使いこなしてきた人が新入社員に多くいる昨今ですが、当然、個人と会社ではセキュリティーの重心が違います。また、人事異動で新たに着任した社員も、業務が変われば情報資産との関わり方が変わり、以前と同じ意識でのぞめばよいとは限りません。新年度にあたり、情報セキュリティーのルールは特に徹底したいところです。
2024/05/10
-
-
サイバーインシデント対応の基本知識と準備
本勉強会では、一般的な情報セキュリティインシデントとサイバーインシデントの違いや、その初動対応について事前に準備すべきことと合わせて、自社で手軽に訓練・演習を実施するためのポイントを解説します。2024年5月8日開催。
2024/05/09
-
-
炎上の原因はSNS上の振る舞いのみにあらず
新年度から仲間に加わった新入社員は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、友人とSNS で交流するのがあたり前の世代です。が、学生時代と違い、社会人になれば取り巻く環境が変わり、自身の立場も変わる。うかつな投稿が「炎上」につながるケースは少なくありません。新人研修のテーマにSNSリスクを組み込むなどして教育を徹底したいところです。
2024/05/08
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方